支援実績

Startup Lightsはスタートアップ企業を基点として、社会課題を解決していくためのプロジェクトです。
意志を持って未来を変えていく行動を取っている企業や人を” Light(光)”と捉え、その”Lights(光)”を集めることで、課題解決に向けた取り組みを力強く推進していきます。
今回はStartup Lights認定企業である、SOELUさんで取締役として活躍されている越塚麻未さんに焦点を当て、どのようにして多様な組織づくりを実現しているのか、紐解いてまいります。

つづく健康を、あたりまえに
自宅で人気インストラクターのレッスンを受けられるオンラインのヨガスタジオ「SOELU(ソエル)」を手がけるスタートアップ。「SOELU」は、お家でヨガやトレーニングのレッスンを受講できるオンラインフィットネスサービス。朝5時〜深夜24時まで、30分〜60分間のライブレッスンを毎日100クラス開講。自宅付近にジムやヨガスタジオが無いユーザー、忙しくて運動が続かなかったユーザー、マタニティや子育てで外出が難しいユーザーをメインターゲットとしている。ピラティスや肩こり改善ヨガ、美脚トレーニングなど、200人の専門インストラクターが在籍し、100種類以上のプログラムを提供している。
越塚 麻未(Mami Koshizuka)
SOELU株式会社 取締役
大学在学中にラジオのパーソナリティやモデルとして活動。大学卒業後は、2014年4月に株式会社ユーザベースへ新卒女性一期生として入社。複数の大手金融機関を担当し、コンサルティング業務に従事し、同社にてSPEEDA及びNewsPicksのマーケティング、広報チームの立ち上げを経験。オフラインマーケティング、PR部門の体制強化を実現した。2016年4月、HowTwo株式会社にて執行役員COOとして3年間従事。その後フリーランスとなり数社のプロジェクトマネージメント業務を経て、現在SOELU株式会社の取締役就任。
中田:SOELUさんではジェンダーギャップが低く、ご活躍されている方が非常に多いと思うのですが何故でしょうか。
越塚:まずサービスの特性があると思っています。ユーザーの9割が女性なので、その方に寄り添ったサービスをつくると考えると、女性が考えて企画していく方が自然にユーザーの立場に立ったものを考えられるという点が、女性が活躍できている理由として一番大きいと思います。
また、経営陣をはじめとする男性陣が非常に話しやすい方が多く、性別に関係なく意見が言える・受け入れる文化ができているからだと感じています。

中田:ジェンダーだけではなく、社内の『人の多様性』が高いとも聞きました。実際はいかがでしょうか。
越塚:まだSOELUは従業員40人ほどの規模ではありますが、この規模としてはメンバーのライフスタイルやライフステージ、家族構成などにおけるバリエーションが多様だと思います。
いろんなロールモデル、いろんな選択肢があることをそれぞれが示してくれていると感じます。
中田:多様な選択肢があることを認識するということは重要なポイントですね。実際、SOELUさんではまだスタートアップの経営陣が産休育休取得の事例が多くない中、育休を取得されている方もいますよね。
越塚:産休にかかわらず、それぞれの生活における優先度が変わったりするじゃないですか。例えば、ペットの具合が悪い時は仕事をスローペースにするなど。
それぞれの生活の変化に応じて、その状態を踏まえた上でどのように仕事をしていくかを検討します。家族との時間を大切にしたいので、週5勤務から週4勤務に変更したいというようなオーダーも日頃からあります。
産休だからということではなく、それぞれ社員のその時の優先度に応じて会社が仕事を調整するというのが当たり前の文化になっていて、会社に居場所がなくなるということがないという気がします。
中田:会社が当たり前に個人に寄り添った働き方をデザインしているのですね。
越塚:一般的な日本企業での働き方や日本文化に適応するというよりも、海外や異文化感みたいな柔軟な価値観を前提でもっていると感じます。
例えば、「仕事が絶対に第一優先でなければならない」などというような価値観は全くないので、それが会社全体に広まっているのかなという気がします。

中田:組織づくり、ひいては事業成長に文化の醸成は非常に重要だと思いますが、なぜそのような文化が醸成されているのでしょうか?
越塚:何か意図的な施策などは行っておらず、自然とそうなっているという状態です。
ただし、共同代表の2人とも"違いがあることに日頃から気をつけてるな"と感じます。特にジェンダーに関しては、根本的な感情は理解はできないということを、自分達が理解をしているというのがすごく伝わってきます。だからこそ、彼らから私に意見を聞いてくれることが多いです。
例えば、「私が女性のメンバーと話している時の方が楽しそうだ」という議題が一度役員会に上がったことがあります。
中田:面白いですね。ぜひ役員会のエピソードを詳しく教えてください。
越塚:役員会で話しづらそうだと感じたようです。そのため、「女性役員を増やした方がいいのでは」という提案をしてもらったことがあり、コミュニケーションの違いなどを見ていて、何か気付いてくれているんだなという気はしています。
その件に関しては、私はそれぞれに合ったコミュニケーションをしているつもりで、"話しにくい"ということではなかったので、特段何かをしたわけではないのですが、日々気にかけてくれているな、と思います。
中田:多様性が会社の成長に寄与していると感じる機会はどのような時でしょうか。
越塚:採用は一つありますよね。多様なロールモデルがいることによって、エントリーのハードルを感じないで応募してくれるということはあると思います。
もう一つはサービスづくりです。SOELUのミッションである『つづく健康を、あたりまえに』という軸はありつつ、ユーザーの声を聞いてサービスを作ることが非常に多いんですね。ユーザーアンケートの回答をもとにして、サービスを改善していきます。一つの画面のUIUXとかもそうですし、プロテインなどといったリアルなプロダクトづくりの際にも重要です。
ユーザーさんの声として多い意見が採用されがちですが、こういうユーザーさんもいるよねとか、変にユーザー属性を区切り過ぎないなど、何かそういった多様な意見がサービスづくりの部分でのユーザー理解度を上げているのではないか思います。
「誰かを置き去りにしないサービスづくり」というのが非常に重要だと思っています。
中田:社会からどういった企業として捉えられるか、また様々なユーザーさんに価値を届けるにあたって多角的な視点や意見からプロダクトをつくることに繋がっているのですね。社内への影響はありますか。
越塚:そうですね、男性の方が定量的な結果や合理的に考える傾向があると感じます。コミュニケーションとしても、そういったコミュニケーションをしがちなことが多いですよね。定量的な評価がきちんと出来たり、論理的に伝えられるだとか、良い側面も多くあるのですが、一方で、それだけでは解決しないようなことがやはり会社ってあると思うんですよね。
すべて数字で管理がされ、結果だけ出していればいいという会社は、社員のモチベーションを醸成できないこともあるなと思います。そういった合理性だけでは解決できない悩みや違和感などは、私に回ってくることは多いです。私から代表2人に話しをすると、もう一度考え直したりだとか、違う方法を取り入れようと検討し直したりすることがあります。メンバーが会社の定量的指標やロジックをうまく使って説明できないことの助けにはなってるのかなと思います。
中田:多様性のあるカルチャーが大事ですね。そのような環境をつくりたいと思っている企業は多いのですが、アドバイスするとしたら?
越塚:「採用するのではなく、育てよう」と考えたほうが、良いと思います。
女性で現在経営層として活躍されている方の人数が少ないので、外部から採用しようというのはかなり難易度が高いと思います。もちろん育てるということも、それはそれで難しいとは思うのですが。

中田:今まで会社全体のお話を伺ってきましたが、具体的に越塚さんが取締役に就任されてどのような影響が会社に起こりましたか?
越塚:取締役就任条件を会社にジョインする前から決めており、その条件は会社のグロースに必要な数値目標としていていました。その為、クリアしたということは会社がグロースしたポイントだと思います。
就任条件の具体例をあげると、広告のCPAをx%からx%に引き下げるや、広報ではメディア露出本数などです。
中田:達成されており素晴らしいですね!入社前に条件を設定されたのは何故ですか?
越塚:私はSOELUが今大好きで、ここでしっかり事業を成長させたいなって思いをもっています。ただ、個人のキャリアを俯瞰して考えると、選択肢はSOELU以外でもたくさんあると思っているんですよね。
自分がしっかり結果を出すことはもちろん、それが評価される環境でないと頑張れないだろうし、他の選択肢を検討してしまったりするだろうなっていうことを思ったので、コミュニケーション(交渉)をしないと自分のためにも、会社のためにも結果的にならないですからね。
中田:前職でのご経験も今に繋がっているのでしょうか。
越塚:ユーザーベースにいた時の上層部はだいたい男性で構成されていました。私が転職しようと思った理由として、ここで上にあがれないなと思って転職したんです。文化、サービスも、女性が上がりやすいマーケットとそうではないマーケットがあるので、その点において偏りがあると思います。
中田:「ここで上にあがらないな」と思ったのは、ロールモデルが存在しなかったというポイントが大きな要因でしょうか。
越塚:ロールモデルが存在しなかったというのもあるし、私とは違うタイプの人が昇進することが多かったからです。例えば女性でも当時は元金融でゴリゴリやっていますみたいな人じゃないと難しいだろうなと当時は思っていました。
中田:最後に取締役として活躍する越塚さんから、頑張りたい女性にエールを送るとしたらどんなことを伝えますか?
越塚:まず、諦めないことです。色んな方を見ていて思うのですが、最終的に諦めなかった人が何者かになっていくし、何かを得ていくと感じます。だからこそ、諦めないで頑張ってほしいなと思いますし、もしあまり今自信がないなどであれば、そういう自分を受け入れながら、他の人とは比較せず、何かちょっとずつ自信がつくように前に進んでいけばいつかタイミングは絶対に来るなと思って、そこまで地道に頑張り続けることが重要だと思います。

編集後記
SOELUさんでは現在「当たり前」にジェンダーのみならず、様々な方々がご活躍されているとのことでしたが、その「当たり前」は自然に醸成されたのではなく、経営陣の意志と日常の細部に落とし込まれた意識的な行動によって醸成されていました。
Startup Lightsでは、必ず認定に際して起業家へのインタビューを行っており、SOELUさんは共同代表制を取られているため、今回は蒋さんに代表してヒアリングを実施させていただきました。蒋さんは大学時代にダイバーシティーマネジメントを専攻しており、「多様性のパワー」を学んできた方で、「組織の拡大を検討するのであれば、早いタイミングで多様性のある組織づくりを行い、『多様性のパワー』をどのように組織成長にインパクトさせるか考えるべきだ」と仰っていました。また、その「多様性のパワー」を理解するためには実際に多様な人が活躍し、企業全体が成長しているケースを理解することが重要だと。
組織づくりとは、経営陣がどのような未来を目指し、意志を持って意思決定し、社内外への周知を推進していくことが重要です。
Startup Lightsでは実際にスタートアップ企業で多様な人が活躍し、企業全体が成長している事例を取り上げ「多様性のパワー」を証明していきます。
中田 莉沙 (Lisa Nakada)
Startup Lights Founder
学生時代よりスタートアップ企業でインターンを経験。大学卒業後、野村證券にて営業を経験。2018年2月にフォースタートアップスに入社。タレントエージェンシー本部シニアヒューマンキャピタリスト兼事業開発スペシャリストとして従事。2020年ビズリーチヘッドハンターオブザイヤー IT部門 MVP獲得、2020年11月フジテレビ系列「セブンルール」、2022年3月NHK「コワくない。就活 教えて先輩!」出演。2022年4月にスタートアップから社会課題を解決する「Startup Lights」を発足。