【対談】多様な経験が力に変わる。成長機会が溢れるヒューマンキャピタリストという仕事【前編】

2023-04-26
【対談】多様な経験が力に変わる。成長機会が溢れるヒューマンキャピタリストという仕事【前編】

四半期に一度、フォースタートアップス(以降、フォースタ)の経営を非連続に進化させた躍進的なプロジェクトに与えられる社内表彰「四半期PROJECT大賞」。先日、当賞を受賞したのは女性3人のチームでした。スタートアップが抱える課題に向き合い、その課題をチームで解決する「ヒューマンキャピタリスト」。入社時は未経験だった3名は、バックグラウンドも強みも全く異なります。そんな彼女たちの個性を活かした活躍ぶりを対談を通してお届けします。前編ではチームワークづくりをメインに、ヒューマンキャピタリストの仕事のやりがいや醍醐味について、3人が語り尽くしました。

《メンバー紹介》

伊藤 香奈(写真左)

シニアヒューマンキャピタリスト/マネージャー

日本の国際競争力を高めたい。大学時代から日本の未来に危機意識を持ち、影響力が大きいのはスタートアップ支援だと考え、2020年にメガベンチャーからフォースタへ。取り組み続けたことが成果につながる場面が増え、手応えを感じているところ。

尾崎 睦(写真中央)

ヒューマンキャピタリスト

前職の大手メーカーでIR・PRを経験。CVCに携わった際、スタートアップエコシステム全体に関わりたいと考え、2020年にフォースタへ。さまざまなミッションに幅広く関わることで、CONECTING dotsが起こることを感じている。

安松 花子(写真右)

シニアヒューマンキャピタリスト/EVANGE編集長

たまたま見たTV番組でフォースタとヒューマンキャピタリストを知る。その姿に感銘を受け「せっかく働くのなら、意義のあることをやりたい」という気持ちから、2021年にフォースタへ。入社後は自らが信じる「ことばの力」と誠実さで人々の志に寄り添い、スタートアップという選択肢を提案している。

====

抜群のチームワークを発揮。プロジェクトを通じて成長

――まずは「四半期PROJECT大賞」の受賞、おめでとうございます。企業の採用支援のプロジェクトで表彰を受けたと聞きましたが、どのようなプロジェクトだったのでしょうか?

伊藤:とあるクライアント企業様に対し、あらゆる角度から採用支援をおこなったプロジェクトです。内容は詳しくお伝えできないのですが、結果として、その企業の従業員数のうち20%はフォースタが支援している状態に。かなり大きな成果につながったプロジェクトでした。

――チームの様子、成功の要因などを教えてください。

伊藤:私たちはヒューマンキャピタリストとして、スタートアップが成長するための最大の課題であり、必要不可欠な要素である「人(人的資本=Human Capital)」の支援を中心とした成長産業支援を行なっています。社内ではスタートアップの支援を加速するためのプロジェクトが複数動いており、成功には社内外との連携が欠かせません。今回、私たちのチームが成果を出せたのは、目指すゴールがブレることなく、3人で適切に役割を分担して、それぞれがやるべきことを全うしたからだと思います。

安松:役割分担は、エンジニアの採用支援を主に尾崎さんが、ビジネス側の採用支援は主に私が担当し、伊藤さんが全体を統括。プロジェクトの成功に不可欠な社内メンバーの協力を仰ぐことは、それぞれが随時行っていました。

元々、伊藤さんと尾崎さんが進めていたプロジェクトに私が後から参画したのですが、お二人と一緒に仕事を進めることは、学びの連続でした。

伊藤さんからは、プロジェクトのマネジメント、特にどのように課題を整理して話を進めていくのかや、優先順位を明確にして対話するスタンスを、学ぶ機会となりました。尾崎さんは、企業との信頼関係の築き方がとにかく上手で、丁寧に認識をすりあわせながら共通言語でコミュニケーションを進めます。私にとっては打ち合わせの一回一回が、すべて学びでした。

伊藤:安松さんは、本当に変わりました。最初は「プロジェクトに入ったはいいものの、どうしたらいいだろう」とたじろいでいましたが、今では意志を持って、企業に対して時には意見するまでになりました。私たちは、企業のことを本気で考えるからこそ、「これを変えたほうがいい」とはっきりお伝えしています。回を重ねるごとに、安松さんも自信をもって企業とのコミュニケーションが取れるようになっていました。

尾崎:すごくいいバランスだったと思います。心配りが行き届いていて、企業を熟知している伊藤さん。社内メンバーの巻き込み力が強い安松さん。私は、プロジェクトを推進しやすいように、社内外の関係者のつなぎ役。それぞれ強みが違うのです。その3人が「こうありたい」と同じ価値観をもってゴールを目指したことで、関係者全員が達成感を味わえる結果を出すことができました。

伊藤:尾崎さんも、あるタイミングからとても変わりました。最初はどちらかというとフォロワーのスタンスでしたが、企業と向き合い続ける中で、尾崎さん自身がオーナーシップを持つようになり「私はここまでやるから、伊藤さんはほかの部分を推進してほしい」と明確に言ってくれるようになりました。

今振り返ると、最初の頃の尾崎さんは、「自分はプロジェクトの一部」という認識だったのかもしれません。そのスタンスが変わった時から、チームとしての連携がとても強くなりました。それぞれが成長したからこそ、プロジェクトの進め方がアップデートされ、よい成果に繋がったのだと思います。

さまざまな活動が好循環を生むヒューマンキャピタリストの仕事

――お互いの強みを尊重しながら、協力し合ってプロジェクトを進められたんですね。当プロジェクト以外に、皆さんが普段取り組まれているヒューマンキャピタリストの仕事内容も教えてください。

尾崎:起業や転職を考えている個人と事業成長をしたいスタートアップをつなげる活動は全員が担当していますが、ヒューマンキャピタリストとしての活動は幅広く、各々がいろんなプロジェクトを推進しています。私は、エコシステムビルダーの方々との連携、エンジニアのキャリアインタビューシリーズ『HEROES』の取材・執筆を担当しています。ご転職を支援するだけではなく、エンジニアの皆さんに多様なロールモデルを知ってほしいと、メディアを通じて社会に発信しています。

伊藤:尾崎さんは、前職で広報・IRの業務経験があり、情報収集のアンテナがとても高く、毎日のように社内のSlackに情報を共有してくれます。タスクとしてこなすのではなく、バックグラウンドを活かした強みとして、プロジェクトの仕事も含めてヒューマンキャピタリストの活動サイクルがうまく回っているように見えます。

尾崎:そうですね。インタビュー機会も含めていろいろな角度からいただく視点や情報は、大切にしています。情報収集した市場のトレンドを念頭に置きつつ、エコシステムビルダーの方々が注目する領域や温度感をすり合わせながら、伴走できるように活動しています。

どの活動にも共通していることは、すべて人が起点ということ。日本のスタートアップが盛り上がるには、やはり人が重要です。その想いを発信することで、スタートアップに挑戦するモメンタムが広がっていくと思うんです。だからこそ、向き合う目の前の方だけでなく、その先のコミュニティにまで波及効果があると思いながら、日々さまざまな活動に向き合っています。

――安松さんもオウンドメディア『EVANGE』も担当されていますね。

安松:はい。採用支援の仕事に加えて、ハイレイヤーの方々をスタートアップへ誘うオウンドメディア『EVANGE』の編集長を務めています。

フォースタの採用支援は、スタートアップの事業成長の鍵を握る経営層の方をいかに支援できるかが一つのポイントです。『EVANGE』を始めた背景にも繋がりますが、起業家やCEOはメディアの露出が多く注目される一方で、その起業家やCEOを支える経営層の方々には、その機会が多くはありません。そんなCxOや経営層の方々にスポットライトを当て、彼女・彼らの意思決定の軸や価値観を紐解き、発信することで、1人でも多くの方にスタートアップでの挑戦を身近に感じてほしい、そんな思いで日々メディア運営をしています。

また私の根底には、ヒューマンキャピタリストという存在を伝えたい、私たちの介在価値を世の中に発信したいという思いもあります。いつになるかわからないけれども、職業を選択するときに、選択肢の一つに「ヒューマンキャピタリスト」が当たり前に挙がる時代を作りたい。それが私のモチベーションにもなっています。

『EVANGE』では、毎月1、2名のCxOや経営層の方にインタビューを行います。どのような体験が元になって人の価値観は変わるのか。リアルな経験談に触れる貴重な機会は、いつも心が動かされます。『EVANGE』の取材を通じて得た気づきや視点が、ヒューマンキャピタリストとしての活動のすべてに好循環をもたらしていると思います。

ーーありがとうございます。伊藤さんはどのようなヒューマンキャピタリストのあり方なのでしょうか?

伊藤:私は、起業家との向き合いに強い思いを持ち、ここまで来ました。その過程で、起業家や企業に提供する付加価値を増やしていくには、私自身がもっと高い視座を持たなくてはいけないと思いました。それが2021年の冬。そこから、社内でマネージャーを目指すようになりました。実際、2022年夏からマネージャーになり、見る世界が一気に変わりました。

それまでは1人のメンバーとして、「ヒューマンキャピタリストの仕事が面白い・好きだ」という気持ちで、起業家や求職者と向き合ってきましたが、マネージャーに就任してからは、フォースタの事業、組織のあり方、メンバーの育成を真剣に考えるようになりました。その中で、今までなかった視点で企業の課題を捉えられるようになったり、彼らの課題をより解像度高く理解できるようになりました。

自分の経験が、ヒューマンキャピタリストとしての起業家との向き合いに直接活きる。しかも、企業も起業家もどんどん成長しているので、私が成長しないと追いつかない。ヒューマンキャピタリストの仕事は、そこにおもしろさがあり、同時に、常に自分をアップデートしたいと思える瞬間の多い仕事だとも感じています。

起業家と苦楽をともにして膨らむストーリー。時を経るほどに楽しさが増す

――仕事のやりがい、楽しさも教えてください。

尾崎:ヒューマンキャピタリストの仕事は、人の無限大の可能性を生かした事業創造を通じて、次世代の社会に必要な進化を提供すること。そう表現すると難しく聞こえますが、実はどんなバックグラウンドの方でも挑戦できる仕事です。なぜなら、取り組み方は一つではないし、どんな介在価値を発揮したいのかも自分で考え、決めることができるから。自分がどんなヒューマンキャピタリストを目指したいのか、何をやりたいのかを追及できる点が難しさでもあり、おもしろさです。これは年々、わかるようになりました。

私は大手企業出身なので、かつての私のような大手企業に在籍している方とスタートアップを結ぶ架け橋になりたいと思っています。普段、向き合っているエコシステムビルダーの方々、チャレンジしようとしている個人の方々。このエコシステムを構成しているみんなが共通の目的を持ち、手を取り合って進んでいけるように、何らかの働きかけができたらいいなと思います。

――安松さんはいかがですか。

安松:正直に言うと、大変です(笑)。

でも、いつも思うのは、頑張った先には「私だからできる何か」があるはずということ。この大変な時間は、オリジナリティをつくる過程だと思っています。

思い返すと、私のモチベーションは昔から「私だから提供できる価値をつくること」にありました。私だからつくれる『EVANGE』、私だからご支援できた求職者の方、私だから実現できた採用支援。こういうものがあればあるほど、やりがいを感じられるし頑張れます。

そう思うと、ヒューマンキャピタリストの仕事は、クリエイティブにあふれています。尾崎さんの言う通り、やり方は決まっていません。一人ひとり異なる個性、経験、価値観を持ち、それらが組み合わさって新しい価値を提供する。私が見ている世界は、ほかの人が見ているそれとは違うだろうし、だからこそさまざまな個性が組み合わさって、思ってもいない出会いを創出できた、ということが日常的に生まれやすい環境です。これは本当にフォースタのユニークさだと思います。

こうやって大変以上のやりがいを感じられるから、続けられるのかなと思います。

伊藤:そうですね。未来が楽しみな仕事であり、長く続けることが武器になる仕事だと思います。例えば、創業半年の起業家にお会いしたとします。創業自体はまだ半年かもしれませんが、起業家の方は何年も前からその事業に想いを寄せ、原体験を持ち、やっとの思いで創業したのかもしれません。そこにいきなり「初めまして」とやってきた私たちが、いきなり肩を組んで「いい会社をつくりましょうね」と言っても、心を開いてはくれません。当たり前です。

それがスタート地点で、頑張って苦楽を共にし、成功体験をたくさん重ねていくことでストーリーが紡がれていく。そのストーリーはどんどん長くなり、「一緒にやってきたこの時間が…」と語れるエピソードが増えていきます。その面白さは1年、2年と時間が経たないとわかりません。やればやるほどストーリーが膨らんで、その結集が、社会をアップデートしていきます。だからこの仕事はやればやるほど面白いし、未来がただただ楽しみになります。

〜後編につづく〜

Related News