ビジョナリストとリアリストが語る、第二創業の「執行」と「責任」

2026-01-30
Executive Interview

2026年1月1日、フォースタートアップス株式会社は、創業以来の「単独代表制」から、代表取締役 CEO 志水雄一郎、代表取締役 COO 恒田有希子の2名による「共同代表制」へと移行しました。

この変革は、単なる組織変更ではありません。国家規模の課題である「イノベーション支援」を加速させるための、「第二創業」の決断でした。「未来を描く」志水と、「現在を獲りに行く」恒田。共に「代表取締役 執行責任者」として並び立つ2人が、市場への確固たるコミットメントと、未来への覚悟を語ります。

国家の進化に呼応する「戦略的必然」の2トップ体制

──── 2026年1月1日付での体制変更。共同代表制への移行という決断に至った背景を教えてください。

志水(CEO): 私の中では「既定路線」でしたが、市場環境の変化が加速したことで「戦略的必然」へと変わりました。

フォースタートアップスが掲げる「(共に)進化の中心へ」というミッションを体現し、日本経済にインパクトを与えること、そして、東証プライム市場への鞍替え上場を短期に実現することを目指す場合、さらに高次元に肩を組めるパートナーが必要であると考えたからです。

現在、政府の方針も「スタートアップ」という枠組みを超え、より本質的な「イノベーション」による国力向上へと舵を切っています。この巨大な潮流の最前線で、経営のスピードと執行の質を世界水準へ引き上げるため、恒田さんを共同代表に迎えました 。

恒田(COO):私は入社以来、志水さんが語る「日本の未来のために成長産業を作る」というビジョンを、「執行」の現場で具体的な数字へと変換し、応え続けてきました 。

私たちの関係は、単なる「共感」で結ばれた情緒的な組織ではありません。共通の目標を最速で達成するための「高パフォーマンスな連携」です。ビジョンを掲げる志水さんと、それを現実に着地させる恒田。10年間積み上げてきたのは、信頼関係だけではなく、互いのプロフェッショナルとしての実行力に対する確信です。

「個」の突破から「総力戦」へ──変貌を遂げた市場への解答

──── 以前の体制と比較して、なぜ「共同代表」である必要があるのでしょうか。

恒田(COO):日本のスタートアップマーケット自体が成熟期に入り、その難易度と複雑性が劇的に増しているからです 。かつての「スマートフォンで世の中を便利にする」といったインターネット完結型のモデルから、現在は2兆円規模の投資が動くディープテックや、法改正をも伴うグローバルな戦いへと変貌しています 。

もはや、誰か一人のカリスマ性や「人材紹介」という単一の手法だけで成し遂げられるほど、今の夢は小さくありません 。あらゆる要素を兼ね備えた「総力戦」で挑まなければ、このマーケットで勝つことは不可能です 。

志水(CEO): その通りです。かつてのように「10億ドル企業を100社作る」という次元ではなく、いかにして「1000兆円規模の価値」を世界で創出するかという議論にフェーズが変わっています 。この官民合わせた巨大なうねりを動かすには、私が「外」の世界を動かし、恒田さんが「内」の組織を掌握し、同時に攻める体制が最適なのです 。

世代の壁を越え、日本中のコミュニティを網羅する「複層的ネットワーク」

──── お二人が並び立つことで、社外に対してどのようなインパクトを与えられると考えていますか。

恒田(COO):志水さんと私とでは、アプローチできるコミュニティの層が明確に分かれており、それが複層的に重なることで市場全体をカバーできる強みがあります 。

志水さんは、この30年間のインターネット・スタートアップ業界を築き上げてきた重鎮や、金融・政界のリーダーたちとの強固なネットワークを持っています 。これは私の世代では逆立ちしても得られない、歴史に裏打ちされた資産です 。

志水(CEO): 一方で、恒田さんは今の「デジタルネイティブな起業家世代」のど真ん中にいます 。SmartHRやLayerXといった、今まさに日本をアップデートしようとしている80年代生まれの経営者たちと同じ空気を吸い、頼られる関係性を築いています。

私が日本の「大動脈」を繋ぎ、恒田さんが次世代の「神経系」を網羅する。この2つのネットワークが結合することで、フォースタートアップスは世代やセクターを問わず、あらゆるイノベーションの火種にリーチできる唯一無二のプラットフォームとなります 。

「ビジョナリスト」と「リアリスト」の宿命的衝突

──── 共同代表制における役割分担について、市場(投資家)へはどのように伝えていきますか?

志水(CEO): まず明確にすべきは、代表取締役である私たちは2人とも「執行責任者」であるということです。私は「ビジョナリスト」として、よりマクロな視点での「エコシステム形成」と、非連続な成長を生むための「新規事業創出」にリソースを割きます。

恒田(COO): 対して私は、徹底的な「リアリスト」として既存事業(ヒューマンキャピタル、オープンイノベーション)の数字に100%コミットします。志水さんが「10年後の未来」を描く一方で、私はその未来を「今日」から手繰り寄せ、具体的な事業として結実させる 。

同時に「新規事業」の立ち上げに対する気迫は、志水さん以上に持っています。既存事業の盤石な収益基盤があるからこそ、次なるイノベーションへの挑戦が可能になる。志水さんが「10年後の未来」を描く一方で、私はその未来を「今日」から手繰り寄せ、具体的な事業として結実させる。 この「ビジョンとリアルの熾烈な衝突」こそが、フォースタートアップスの成長エンジンです。

「成果」がすべて──有事こそ真価を問われる執行力

──── 恒田さんを副社長から、代表権を持つ「並列」のポジションに引き上げた具体的な理由を教えてください。

志水(CEO):恒田さんがフォースタートアップスが掲げるバリューの最たる体現者であることはもちろん、「圧倒的なリーダーシップと成果」で市場と組織の信頼を勝ち取ってきたからです。 

象徴的だったのは、業績の下方修正を余儀なくされた昨年の局面です。

恒田さんは陣頭指揮を執り、事業構造を再定義して過去最高のパフォーマンスを叩き出した。この「有事におけるやり切る力」こそが、投資家が経営陣に求める真の資質です。私自身が執行責任者として背中を預けられるだけでなく、ステークホルダーがその実績に命運を託せると確信できることが、最大の決定打でした。

「スタートアップ」の先へ。30年かけて日本を変える「執行」の覚悟

──── 最後に、新代表・恒田有希子としての「覚悟」を聞かせてください。

恒田(COO):代表取締役という看板を背負うことは、全てのステークホルダーに対して「最終責任」を負うことを意味します。その重圧から逃げるつもりはありません

昨今、経済産業省の局長からも「スタートアップの数だけではなく、日本を根底から変えるイノベーションを」という明確な期待が寄せられています。私たちは単なる成長産業支援会社に留まらず、日本を変えるイノベーションそのものを生み出すインフラへと進化し続けなければなりませんし、その役目はフォースタートアップスが先頭を切って担うものだと考えています。

偉大な経営者の方々――例えば柳井正さんや孫正義さん、三木谷浩史さんと比べれば、現時点での経験値は遠く及びません。しかし、私には彼らより20年近く「未来に残された時間」があります。30年かけてでも、私の執行で、日本を代表する企業へとフォースタートアップスを押し上げる。

この「プラチナチケット」を手に、誰よりも熱く、そして冷静に数字と向き合い、「日本を根底から変えるイノベーション」への道を切り拓きます。これが投資家と仲間に向けた、私からの「約束」です。

志水(CEO): フォースタートアップスの「第二創業」は、ここから加速します。どうぞご期待ください。

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【プロフィール】

志水 雄一郎(Yuichiro Shimizu) 

代表取締役 CEO

慶應義塾大学卒業。株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)、株式会社セントメディア(現 株式会社ウィルオブ・ワーク)2社にて新規事業立ち上げを経て、2016年に株式会社ネットジンザイバンク(現 フォースタートアップス株式会社)を創業、代表取締役社長に就任。2014年、2015年にビズリーチ主催「Japan Headhunter Awards」にて「Headhunter of The Year」2年連続受賞、2016年に国内初殿堂入りHeadhunter認定。新経済連盟 幹事、関西経済同友会 副委員長、日本経済団体連合会 委員、経済同友会 委員、日本ベンチャーキャピタル協会 委員を歴任。著書に『スタートアップで働く』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

恒田 有希子(Yukiko Tsuneda)

代表取締役 COO

武蔵野美術大学卒業。グロービス経営大学院MBA修了。2007年株式会社サミーネットワークスへ入社、2013年株式会社メタップスに入社。同社の事業統括責任者を経て、2016年10月に当社に入社。入社以来、主力事業であるタレントエージェンシー事業(現ヒューマンキャピタル事業)の成長を牽引。2018年執行役員就任、2019年取締役就任、2021年常務取締役就任、2024年より取締役副社長に就任し営業部門すべてを統括。2026年より代表取締役 COOに就任。2020年に公益社団法人経済同友会に入会。共助資本主義の実現委員会、オープンイノベーション委員会の副委員長を経て、2025年より幹事。

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