政策提言を通じてスタートアップの成長を後押し。エコシステム形成に向けたルールづくりへ

2022-11-14
政策提言を通じてスタートアップの成長を後押し。エコシステム形成に向けたルールづくりへ

東京の大学に進学後、公共領域に強い大手コンサルティング会社と故郷である沖縄の金融機関にて、地方創生の文脈でスタートアップ創出や成長産業支援に取り組んできた城間正人(Masato Shiroma)。経験を活かし、現在、フォースタートアップス(以下、フォースタ)の中でスタートアップ政策策定支援を行う「Public Affairs戦略室」で活躍中だ。

大手コンサルティング、地域金融機関でスタートアップ支援に取り組み、フォースタへ

大学時代のNPO活動や政策研究の経験を通じ、政策立案と実行に携わるため、新卒で公共系の大手コンサルティング会社に入社した城間。希望通り、中央省庁や地方公共団体の調査業務や計画策定業務など公共部門における幅広いコンサルティングに携わった。当時は地方創生の流れを受け、地域の産業振興が注目されていたこともあり、地方公共団体が行うスタートアップ支援にも関与した。これがスタートアップとの出会いだ。

その後、沖縄の金融機関へ。「20代のうちに一度帰り、コンサルティング会社での知見を活かし、地元で公共政策やスタートアップ支援に関する業務をしたいと考えていたとき、地元の銀行からそのポジションの募集について、声がかかったのです。」と城間は転職の経緯を語る。

金融機関ではVC、スタートアップ支援、官民連携、地方創生などの業務を担当した。地域金融機関がスタートアップを支援するのは、次世代を担う有望な産業を育てることが、地域の将来を作り、結果として自社の成長に繋がるからだ。地域をけん引する企業が生まれ、次世代産業が育つことが必要であり、だから日本各地の地域金融機関、地方自治体は熱心に取り組む。

そんな城間とフォースタがつながったのは、2021年のこと。地域銀行で活躍していた城間だが、大学院進学のため退行した。「元々学部生の頃から、実務経験を積んだ後、大学院進学をして学術研究に昇華させようと予定していました。見切り発車で退行した後、貯金が足りないことに気がつきました(笑)。そこで就職活動を始めました。

GovTechのスタートアップかVCを検討していた頃、フォースタと出会いました」。ちょうどPublic Affairs戦略室が立ち上がった年であると同時に、フォースタートアップスキャピタルが始まろうとしていたタイミングだった。どんぴしゃのキャリアを持つ城間に、当然フォースタサイドは「手伝ってくれませんか」と誘う。城間もそれに乗った。

ルール形成を通じてスタートアップエコシステム構築に貢献

入社の決め手の一つが、国内の成長産業とスタートアップ企業に関する情報を集約した情報プラットフォーム『STARTUP DB』だ。城間にとっては宝の山に見えた。「前職、前々職でスタートアップ関連のリサーチに取り組んでいるとき、課題は実態把握でした。基本、『非公開市場なので情報を集めようがない』というなかで、これだけきちんとした形でデータがあることは非常に魅力的で、これは何か新しいことができそうだと思いました」。

城間が所属するのは、Public Affairs戦略室。スタートアップの創出・成長を促進させるためのルール形成や世論形成を行う役割を担う。

「スタートアップが成長しやすい環境をつくるために、スタートアップをとりまくステークホルダーに働きかけることがミッションです。たとえば行政であれば、スタートアップの創出・成長における促進要因・阻害要因を特定します。そして、促進要因を実装、阻害要因を除去するために必要となる打ち手の立案や付随するリサーチを行っています。スタートアップの市場が大きくなれば、それだけフォースタの事業機会が増えます。それに見合うアウトプットを出すために必要なことを企画立案・実行するのが我々の役目です」と城間はいう。

メンバーは、元ヒューマンキャピタリストや、スタートアップ、メガバンクの出身者など、バックグラウンドはさまざまだ。それぞれが持つ専門性を活かし「for Startups(すべては、スタートアップスのために。)」というビジョンの実現に向け取り組んでいる。

現在、Public Affairs戦略室が注力しているのは、中央省庁・地方公共団体との連携強化だ。たとえば、地方公共団体では、全国から8都市が「スタートアップ・エコシステム拠点都市」として内閣府から選定されており、中央省庁と地方公共団体が一体となって、スタートアップの創出・育成に向けた取り組みを強化させている。それを加速させるために、時に公共事業の受託を引き受けながら、スタートアップエコシステム構築に向けた、計画策定からその実行を支援している。

マルチステークホルダー連携でスタートアップ政策の推進を目指す

フォースタの強みは、ユニコーン企業を含む、日本を代表するスタートアップに対して、VCと一体となって成長を支援してきた実績だ。現在活躍しているスタートアップの成長要因や、直面してきた課題など、過去の実績で得た生の情報に基づき、事業を設計・提案する。これまでに数々の公的機関からの受託実績がある。

「現在受託している事業は主に3つあります。スタートアップに関する政策を形成するための基盤となる調査分析・計画策定支援業務、スタートアップの成長を促進させるための支援プログラム運営業務、スタートアップやスタートアップエコシステムにヒト・モノ・カネといった資源を呼び込むためのPR・プロモーション支援業務です」。

このような業務を通じて中央省庁・地方公共団体との関係を構築し、案件を通じて得た知見、実績を新たな政策のヒントにつなげていく。「中央省庁と地方公共団体にはそれぞれ、国全体もしくは地域単位ののミクロ・マクロの方針を定め、運用する機能があります。スタートアップの創出と成長を促進させるための制度設計に関与していくためには、双方の主体に、スタートアップのニーズを届けることが重要だと考えています」。

そして、これらはファーストステップであり、その先へと発展させていく。城間は言う「公共事業の受託業務はPublic Affairs戦略室の一つのファンクションでしかありません。スタートアップの声を聞いて、それを形にするために何ができるか、公共事業の受託に限定せずあらゆるオプションの中から適切な手段を選択し、講じていくことが必要です。

我々が目指すのは、スタートアップの成長を後押しする政策・制度とその運用を加速させる座組みをつくること。そのためには、もっと多様なネットワークが必要で、ガバメントリレーションズの取り組みだけでなく、法律・税務に精通した各種専門家とのパイプの構築や、パブリックリレーションズ等の取り組みを強化しながら、スタートアップという言葉そのものへの一般認知を高め、スタートアップに関係するセクターを増やし、市場のパイをより大きくしていく事が必要です」。

フォースタだけでできることは限られる。いろいろなセクターとのコラボが必要だ。その広がり次第で、時間軸が短縮できるはず。大きな未来を描きながら、城間はまずは目の前の業務に一つひとつ取り組む。

『STARTUP DB』を広め、政策決定のエビデンスに活用へ。構想は広がるばかり

数々の取り組みにおいて、強力な武器となるのが『STARTUP DB』だ。城間は、もっともこのプロダクトの価値を知っている人物の一人だろう。「たとえば『スタートアップの企業数はいくつなのか?』我々は、これを具体の数字で答えられます。たとえば、政策立案のKPIに使われる指標のひとつとして、スタートアップ以外の企業体の開業なども含む『開業率』が使われています。正確なスタートアップ数のデータが取得できないからです。さらに、対象となるスタートアップがどのような資金調達をして、どれだけ伸びたか等、『STARTUP DB』には、これらが実態に基づくデータとして存在します。行政にとっては、政策決定に利用できる貴重なエビデンスであるとともに、効果測定に必要となる政策評価も可能になります」。

城間の構想は広がる。『STARTUP DB』と行政のデータ連携を進め、さらにデータをブラッシュアップできれば、日本のスタートアップの成長を加速させるパワーを持つだろう。「公共のお金を使う根拠は、地域のため地元の人のためになること。本来、効果測定ができないことには使えません。フォースタなら、『STARTUP DB』のデータを使えば、たとえば、連携先の自治体がこれまで実施してきた、スタートアップ支援策について、支援策実施前後のスタートアップの成長度合いや、それに付随する雇用数、(域外から流入した)資金調達額など、いわゆる経済波及効果の分析が可能となり、政策の意味づけと解を出せます。このような、EBPM(=Evidence Based Policy Making)のアプローチによって、政策立案〜実行プロセスにおける、効果的なPDCAサイクルの確立と再現性の担保を図ることができます。これがデータベースの価値です」。

「『STARTUP DB』のデータをどう料理して、企画化して、特に行政向けに価値を広めるかは自分が今まさに取り組んでいることのひとつです。フォースタのいいところは、組織のミッションに合致すれば、『やりたい』を推奨してくれること。『スタートアップのためになるならいいよ』となるところが素晴らしいです」。『STARTUP DB』チームをはじめ、仲間たちとの連携を深めながら、事業展開していくつもりだ。

新卒でコンサルティング会社に入ったときから、ブレることなく自身が抱く課題感と向き合ってきた。城間は今、スタートアップエコシステムという大きな舞台に挑むために、ステークホルダーとの連携を深めていく。

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