「テクノロジーが主役の社会へ」エンジニアが作り出す、未来の可能性を最大限にしたいHR業界出身の私の介在価値は、日本の未来とより良い世の中を一緒に作るエンジニアを1人でも多く創出すること

2019-10-31
「テクノロジーが主役の社会へ」エンジニアが作り出す、未来の可能性を最大限にしたいHR業界出身の私の介在価値は、日本の未来とより良い世の中を一緒に作るエンジニアを1人でも多く創出すること

井上香(いのうえ かおり)は、候補者に対し、これまでの経歴やこれからやりたいことを問うのではなく、「いい未来を一緒につくりましょう」と語りかける。前職でも多くのエンジニア支援をしてきた彼女だが、たくさんの情報が押し寄せ、想像を超えるスピードで展開していくスタートアップの世界で、現在も自分自身の介在価値を求めて必死に食らいついている。日本の未来を創っていくためには、必要不可欠な存在であるエンジニアを1人でも多く創出するために。

キャリアや人生を応援したくてCAに。活躍すればするほど深まる悩み

井上香は、新卒でディップ株式会社に入社後、レバレジーズ株式会社、for Startupsと、一貫して人のキャリアと、人の集合体である企業の成長を真剣に考え、活動の場を移してきた。

新卒の就職は、井上いわく「あまり深く考えず」、当時、アルバイト情報サイトの『バイトル』が有名になりつつあったディップに。しかし、アルバイトは、その人の長いキャリアのなかで今だけ、ほんの「点」しか支援できないと次第に気づいていく。未来に向けて「人の人生」と「企業の成長」を支える存在になりたいと思い、転職を決意した。

ディップでは営業として業務に励んでおり、営業職ならいくらでも転職先があったが、井上はキャリアアドバイザー(CA)を目指した。その希望が叶うのが、IT人材に特化したHRサービスを展開するレバレジーズだった。同社での日々は充実していた。最初こそ、経験のない領域で苦労したが、元々やり抜くことやKPIを追求することは得意な性分だ。いつしかMVPを獲るまでに成長していた。

人材紹介のほか、エンジニアと一緒に社内システムの刷新プロジェクトにも取り組み、それまでは履歴書の要素としてしか捉えることのできていなかったエンジニアのスキルが、実際にどのような価値や貢献を生み出すものなのかも目の当たりにした。その経験から、エンジニアへのリスペクトが高まり、視座も上昇。ますますパフォーマンスも上がるようになった。

しかし、その活躍が次の悩みにつながる。エンジニアや社会のためにと思って転職支援をしているつもりだったが、彼らのキャリアを最大化したいと考えたときに、今の自分は本質的な支援ができているのか、漠然とした不安に包まれた。人のキャリアに正解は無いため、本当に目の前で対峙している求職者にとって自信を持って次のキャリアを創造できていないと思った。

なぜならば、これから日本の未来を作っていくためにエンジニアの存在が重要なのは十分理解をしていた。しかし日本の未来を作る企業はどこか、彼らが人生をかけた転職で挑戦すべき企業がどこなのか、自分の言葉で語ることができず、いつもモヤモヤした状態でいたからだ。

「人のキャリアには可能性があり、選択次第で何倍にも伸びます。本来、その手助けができ、同時に、その人が入ることで会社も伸ばすことができるから、人材紹介が好きなのです」と井上は言う。

「良い未来を一緒につくりましょう」。その言葉に、自分にはなかった視点に気づく

日本の未来を創っていくために、必要不可欠な存在であるエンジニア。何とか彼らのためになりたいと真摯に取り組めば取り組むほど、勉強不足や視座の低さなど、自分の至らなさを感じるようになってしまったのだ。人の数だけ思いがあり、決して正解のないCAの仕事。同時に「ほかのCAはどんな想いを持って仕事しているのだろうか」という疑問も持った井上は、「自分も支援される側になってみよう」と考えた。

転職希望者として、for Startupsのヒューマンキャピタリストと面談した井上。「私がやってきたカウンセリングと全然違う。戸惑いましたし、驚きました」。井上は言う。その違いとは「未来志向」とでも呼ぶべきか。「for Startupsでは、候補者の方に経歴や希望を聞くのではなく、まず市場、業界、キャリア展開の可能性を伝えるのです」。その後、また別の執行役員に会ったときは、「感動して泣いてしまいました」と井上。「世の中をつくっていくという視点を持たないと、一生成長しないと言われました」。厳しい言葉のようだが、その役員自身が実際に、自身が課題と案じていることに対して行動し、努力し、成し遂げて今の姿になっていた。「だからこそいろいろな起業家から信頼され、影響力を持っている。その話と、実際の姿に感動したのです」。それは、井上が目指す姿でもあった。

特に響いた言葉は、「良い未来をつくらないとね」というもの。「それまで、私は人のキャリアに重きを置いて支援してきました。もちろん、それは大事なことです。でも『良い未来』を『一緒につくりましょう』とは、私にはない視点でした」。井上は、「未来」という言葉に感銘を受けた。大好きなCAの仕事を、ここでもう一度ゼロからスタートしよう。井上はfor Startupsへの入社を決めた。

自分の言葉で「未来」を語り、何かを感じてもらいたい。それが私の介在価値

入社して約半年。HR業界から来ただけに、オペレーションには手慣れており、すぐに実績も出せた。客観的に見れば巡航速度で仕事ができている井上だが、自身は「まったく今のレベルに満足していない」と手厳しい。「確かに前職では、ある程度実績を残していたと思います。でもここでは傾聴・マッチングではなく、自分の言葉で世の中、市場、キャリアについて語ろうと決めています。これが本当に難しいです」。だが、言葉とは裏腹に、井上の表情は明るい。

もちろん、前職での経験は井上の財産になっている。履歴書の記載以上の、その人の強さや経験を読みとれるのは、前職でたくさんのエンジニアの転職を支援してきたから。これからは、その財産を食い潰すのではなく、どん欲に、さらにいろいろなものを吸収し、自分の介在価値に昇華させるつもりだ。

井上は言う。「目の前の方に、私と話すことで何かを感じ、何らかの可能性につながってほしいのです。エンジニアの方は、技術や環境にこだわる人が多い。それも重要ですが、せっかくなら何を成し遂げたいか、どんな事業をつくりたいか、どんな未来をつくりたいかを自分ごととして考えてほしい。そのような視点を持って『世の中をつくる』側に回ることで、エンジニアとしての新しいキャリアの可能性が開けると伝えたいです。」

スタートアップには夢がある。いい未来、いい日本をつくることに貢献したい

オフィスにいながら、数々の起業家に会えるのもfor Startupsならでは。大いに刺激を受ける毎日だ。井上は言う。「スタートアップの代表の方から直接話を伺えます。議論もさせていただき、起業家の熱量や価値観にまで触れることができるので、自ずとファンになり、一緒に事業を創りたいと思うようになります。ここに来てから、応援したい企業がどんどん増えています。『この企業のために、何としても頑張ろう』と思うのです」。そんな熱い当事者意識も、for Startupsだからこそ芽生えたものだ。

たくさんの情報が押し寄せ、大変なスピードで展開していくスタートアップの世界。まだ、うまく波には乗れない。井上は、必死に食らいついているところだ。「キャッチアップは大変で、『今日、キャッチアップしよう』ではダメなのです。日々の積み重ねがないと、情報を自分のものとして得られない。大変だけど手応えがあります。学びを楽しんでいます」。

仕事にワクワクすることも増えた。「例えば資金調達のニュースを見て、この会社は、今後、どうなっていくのだろう。このビジョンを成し遂げたとき、どんな世の中になるのだろうと考えると楽しいです」。井上は言う。スタートアップには夢がある。今までなかった産業が生まれ、いい未来、いい日本をつくる。「それに貢献するのだと思うと、本当に気持ちが高ぶります」。

大好きなヒューマンキャピタリストの仕事で、スタートアップの組織づくりに貢献することが目標だ。HR業界からfor Startupsへ。一見、平行移動にも見えるが、やりたいこと、やれることは格段に広がっている。

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